当工房の革の多くはヌメ革と呼ばれるタンニンでなめされた革です。この手の革は傷つきやすく、色見の変化も激しいものです。
手に取った時から変化は始まり、日に焼けたりして色が変わったりオイルが革をしなやかに変化させていきます。
よく味が出ると言われますが、その味とはなんでしょうか?
最近は、廃墟が静かなブームらしいのですが、そういったものに通じる美学があると思っています。
壊れていく美学。
風化され傷を負い、最初は綺麗だったのものが崩れていく。
その中にも美があると思います。
風化した建物が持つ美をご理解できる方なら、経年変化を受け入れていただけると思いますがいかがでしょうか?
私は個人的にはヨーロッパの街並みが好きです。西洋絵画にも惹かれます。
それもあってヨーロッパ産の革を多く使用しいています。
風化していく美学。最初は綺麗だったものが傷つき、劣化しても形を維持し、使用に耐える作品であること。
それを手にした時にいいようのない魔力を持っていること。
それには革といった素材が一番ふさわしい。
そう思っています。
手にした方がそういった味を引き出せる作品を作ることが目標です。
Blog カテゴリー:革の経年変化への私見
革の経年変化とヨーロッパの風景
Category: 革の経年変化への私見
Posted by kido on May 24, 2010
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